ひなげし

１

素手になったシンの背中に、新たな点穴針が飛んでくる。

足を壊された敵が、その暗器を飛ばしてきたのだ。

シンはその場に伏せてかわすが、転がってきた相手が腕の力だけで弾んで、回転しながらシンに肘を撃ちこんだ。

身を捻って、手のひらで受け止める。

とっさに振りあげた左足のつま先で、男の後頭部を狙うが、腕のプロテクターでカバーされ抱えるように足を掴まれた。

シンは、耳の後ろに両手をついて、腹筋だけで敵もろともにはね起きた。

シンのひざ下をそれでも離さない男の顔面に、自重をかけた右の膝を落とす。

トドメとばかりに、貫手を男の喉に突き入れてやると、敵はようやく沈黙した。