12人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は静かに自分の部屋を出て、リビングへと向かう。
今日は幸いなことに、土曜日だから学校は休みだ。
真っ黒なリビングに人の気配はなく、母親はまだ起きていないらしい。
部屋の電気のスイッチのボタンを押そうと手を伸ばし、僕の手がボタンに触れた。けれど、触れた瞬間押すことをやめた。
電気をつけない代わりに僕はテレビの電源をつけ、世界が変わってしまったことをどれほど大きく報道されているのかと興味津々に見つめる。
しかし、僕の思っているような内容は一切報道されていなくて、前の世界と変わらない様子だった。少し違うところがあるとすれば、華やかさがあまりない気がした。それは太陽がなくなったせいなのだろうか。
そう、ここは太陽がない世界。
前の世界だったら、太陽がなくなったと大騒ぎになっただろうけど、この世界ではどうやらそれが当たり前で、もっといえば太陽の存在を知っているのはこの世で僕だけなのかもしれない。
もっと外の様子を見てみたい。
そう思った僕は、友人とよく遊んだ公園へと向かった。暗い玄関を開けると、街灯で薄らと光が差していた。この先には未知の世界が広がっているかもしれないと僕の好奇心をくすぐる。
公園まで行く道のりの中で何人かの人とすれ違った。すれ違うどの人もどこか俯き加減だけど、妙に明るい雰囲気だった。その矛盾に僕は少し身震いをした。
街灯がポツポツとあるだけの薄暗い道を十五分ほど歩いて、いつもの公園に着いた。
こんな朝早くに公園に来たところで、友人がいることなんてない。朝の公園は老人たちの遊び場と化していて、僕にとっては不思議な光景だった。
最初のコメントを投稿しよう!