12人が本棚に入れています
本棚に追加
太陽は東から昇り西へ沈んでいく。
そんな当たり前な世界はもうない。
今、僕の目の前に真っ暗な世界が広がっている。
まだ、夜なのだろうか?
いや、いつもの睡眠サイクルを辿れば、今は朝だと考えるのが妥当だろう。
時間は部屋にある時計で確認できるけど、その時計が午前なのか午後なのかは示してくれないものだった。僕の体内時計から察するに、現在時刻は朝の七時だと思われる。
この時間になれば本来、カーテンの向こう側から微かな光が溢れているはずだった。
しかし、光など微塵も感じない。
そっと、カーテンを開ける。
やはり、外は真っ暗でまるで夜みたいだ。いや、もしかしたら本当に夜なのかもしれない。でも、そうなると僕は昨日の夕方に寝てから、ほぼ丸一日眠っていたことになる。それにしては、息子の異変を心配する親の様子はなかった。
これらのことを踏まえて考えれば、自ずと今は朝だという結論を導きだせるが、なぜ朝なのに朝日が昇らないのかという疑問は晴れない。
この世界の異変とリンクする何かを小さな頭で必死に考えた。それでも何も思いつかなかった僕は昨日のあった出来事を思い出すことにした。
いつも通り、八時半前に家を出て学校へと向かった。家から学校が近いため五分もかからずに到着し、授業を受け、給食も食べて、そして――。
また、僕は真っ黒なもう一人の僕と会ってしまった。いや、そうだった。忘れていた。
そう、そいつに僕は願ってしまったのだ。
太陽がなくなって欲しいと――。
最初のコメントを投稿しよう!