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 しかし、その日の帰り道、そいつは突如不気味に呟いたのだ。 「ヒ○○カナエ○」と。  最初は、空耳やすれ違った人の誰かが呟いたのだろうと思っていた。けれど、特に西日が強かったその日、その不気味な声を僕の耳がしっかりと捉えた。この声の正体は、僕の後ろにいる真っ黒いそいつだった。それも、一度ではなく、何度も何度も「ヒ○○カナエ○」と不気味に呟いている。  僕は何か危ないものに取り憑かれてしまったと思い、家まで全力で走った。そいつも必死に僕から離れることなく付いてくる。黒い帯状の形を変幻自在に操り、僕の足元にしがみつく。やがて、西日が沈み太陽の光がなくなったら、そいつはいつも通り姿を消した。 そいつの姿が消えたらあの不気味な呟きも聞こえなくなっていた。 僕は乱れた呼吸を整えながら安堵した。 けれど、その黒々とした姿と不気味な何かを呟くそいつは僕の脳内に深く刻み込まれた。 それから、僕はそいつを認識するようになった。
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