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 けれど、そういった日々が長く続くことはなく、僕とそいつの関係は少しずつ傾き、異変が始まる。 「この頃、お前口が悪くないか?」 「そうかな……今までと何も変わらないと思うけど」  ふと僕に漏らした言葉と今まで見たこともない表情をしていた友人を心配して、僕は少し自分について考えてみることにした。僕は周りの友人と何ら変わらないごくごく平凡な子供で、今まで特に素行が悪いとかも言われたことはない。しかも、母親から言葉遣いについては厳しく育てられたと自負しているので、無意識に乱暴な言葉が飛び出るとも考えにくい。 結局、いくら考えても僕の口が悪くなったという部分を認識できず、友人の思いすごしなのかもしれないと思った。  けれど、その言葉は友人だけでなく、僕の周りにいる人たちが次々と口を揃えて言うようになった。 「お前は口が悪い」と。  まるでそいつと出会った頃のことを彷彿とさせる。 何もない無意識のところから、突如何かが湧き出るように存在を認識させる。そして、そいつ同様みんなが何かしらの言葉を僕に呟く。 もしかしたら、そいつが僕の周りの人たちに僕のことを悪く言っているのかもしれないとも思った。しかし、そいつは僕から離れることもできないので、そんなことをするとは考えられない。だから、明確にそいつのせいだとは言えない。 だけど、僕の取り囲む環境の変化にそいつが何らかの形で関わっているような嫌な予感がした。 そいつはいつも通り僕の足元で呟く。 「ヒトツカナエル」と。
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