第1章 壁

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雪安居に入ると修行僧が托鉢に出ることも なくなった。蝋八の大摂心に向かって微妙に 僧堂の空気が変わっていく。 十二月初旬の蝋八大摂心は僧堂の最も大きな 摂心である。十二月一日の早朝から釈迦無二 如来が悟りを開いたとされる十二月八日の 早朝まで、一回約四十五分の坐禅、約十五分 の抽解、時に経行を入れながら、修行僧は 一週間眠らずにひたすら坐り続ける。更に 日中の老師の提唱には外部から在家の居士・ 大姉が聞法に訪れることが多々ある。この時 ばかりは夜中に抜け出すことも出来ない。
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