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「大丈夫?マリアさん――なんか、大分余裕だね?」
「ありがとうございました、レオ様。いえ、私はレオ様を信じておりましたから」
「……まあ、いいけど」
「先程のレオ様の御勇姿は、完璧に脳内保存致しました!」
「よくねえな」
おいこら。そこに直れ。最近キャラにますます磨きがかかっているマリアさんを引きずって、件の奴隷商の元へ向かう。マリアさんがいやんいやんレオ様恥ずかしいですぅとか言ってるが今の貴女の様子の方が恥ずかしいと思うよ?
「ようこそ、いらっしゃいました。私はオーナーのカールと申します」
鷹揚にそう言ったのは、お腹がぽっこり出ているおじさんだった。有り体に言えばデブというやつである。
「ある程度運動ができる人を探しにきたんだけど」
「実際に見ていかれますか?」
「そうするよ」
二階に案内され、檻に閉じ込められた奴隷たちを物色していく。斥候を任せたいわけだから、身軽な方がいいかなーなんて。
僕が檻の中を観察していると、怯えた視線や睨めつける視線、様々な視線を感じる。各々色んな経緯で連れてこられたようだった。
ふとその中で、気になる子を見つけた。
「ねえ、カールさん。あの子は……?」
檻の隅でうずくまる、一人の女の子だ。
「あの子ですか?あれは鬼人族の娘で、先日たまたま拾ったものの、怪我が酷くて買い取り手が見つからないんですよ」
専属治癒師にもお手上げだと言われ、そのままにしてあります。そう付け加えた。見れば、全身に青痣ができており、ところどころ欠損もしているようだった。
「ちなみに、おいくら?」
「そうですね、金貨一枚でしょうか」
つまり一億円である。鉄、銅、銀、金とグレードが上がり、鉄貨一枚百円で、それぞれ百枚毎に次の一枚と同価値になる。それ以上の高額なやり取りは、王家が発行する手形――紙幣によって行われるらしい。
子供だからって割と足元を見られているなあ。目が金勘定をしているようだ。前世では自ら営業をして、社長業だってやったことあるのだ。さすがにこのくらいは見抜けなきゃ経営だってままならない。
「でもあの子足もボロボロで動くのもままならないし、商品としての価値は低いんじゃない?」
「そうでしょうか。性奴隷としての価値は十分にあると思いますが」
「性奴隷としての価値が金貨一枚?さすがにそれは相場じゃないよね。腐った高級食材を、肥料だって売ってるようなものだし」
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