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「その、ご迷惑でなければ、私の身体も洗っていただけないでしょうか……」
俗に言う洗いっこである。
「……分かったよ」
まあこの年頃なら不自然じゃないよな、と思い直すことにしてその提案を受け入れた。彼女が気にしているのは身分差のことだろうが、生憎侍女を蔑視する考え方は持っていない。
先ほど自分に使われた布で同じようにカレンの身体を洗っていく。途中、胸や恥部を洗う時はくすぐったそうにしていたが、性的興奮は覚えなかったようで一安心した。
続いてクリスが自分も自分もと駄々をこねたので洗ってやる。兄と戯れるのが楽しいのか、キャッキャ言いながら身を捩る。頼むからおとなしくしていてほしかった。
が、マリアさんはそうもいかなかった。彼女の身体は成熟済みであり、未通女(おぼこ)だと聞く。そんなマリアさんに、刺激はどう考えても毒だった。
「レオ様ぁ……」
このままだと襲われると思った僕は、未経験ながらどうにかマリアさんを何度か絶頂させることに成功。彼女の性欲を発散させて、事なきを得たのであった。
「私としたことが、はしたなくよがってしまいました……」
そしてマリアさんは絶賛自己嫌悪中である。僕が慰めるのは悪手な気がするので、母さんに任せよう。
身体を綺麗にしたら、次は着衣である。カレンは商館にいた時に着けていた麻のポンチョのみであったので、せっかく王都にいるのだから服をあてがうのも良いと思った次第だ。
「カレン、どんな服が良い?」
「私が選んでもいいのですか?」
「いいも何も、普段着くらいは必要だしね。侍女用のは向こうに予備があるし」
「では、故郷の服をお願いしたいのですが……」
着慣れたものがいいということなのだろう。聞けば、ちゃんと着付ければ諜報の時もそれを着るつもりらしい。
ん?着付け……?
と思った僕の直感は間違っていなかった。カレンの指す故郷の服とは、着物――どちらかというと浴衣に近いもの――だったのである。和服かあ、久しく見てなかったなあ。
「どうですか?」
「うん、良く似合ってるよ」
彼女が選んだのは藍色に模様が刻まれたものだった。闇夜に紛れやすいから、なんて言っていたので「あ、はい、そうですね」としか言えなかった。意識高過ぎである。
「これなら、小太刀とかも携帯できそうです」
誠に、意識が高過ぎである。自衛用だと思いたい。他にも同じような着物を二着買い、王都を後にする。
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