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実に良い買い物ができた、と僕は帰りの馬車の中でほくほく思うのだった。もちろん、侍女としても働いてもらう以上、カレンを物扱いするつもりなんて一切ない。どうやら一般的には、奴隷とは商品であり物に準じる扱いを受けるらしいのだが。
「これからよろしくな、カレン」
「はい、ご主人様。誠心誠意、務めさせていただきます」
ポテンシャルが高い種族であるとはいえ、まずは鍛えるところから始めなきゃである。どういうメニューを組もうか、少しだけワクワクしながら帰路を往くのであった。
あれから四年。カレンと身体を動かしたり、分家の子たちと遊んだり、使用人の手伝いをして生活スキルを習得したり、そこそこ満足のいく暮らしを送っていた。
「ホント、坊ちゃん器用だな……」
今現在、僕は調理師のダンさんと晩ご飯を作っていた。ダンさんをして器用と言わしめるのだから、自信を持ってもいいだろう。多少のおべっかは織り込み済みである。
「しかも、このマヨネーズだっけ?凄え美味いし」
異世界で料理するとなればまず白羽の矢が立つのはマヨネーズである。何故かは知らない。が、好評をいただくには充分過ぎる戦果だった。とかくウケが良かったのである。
「今日はお兄様がお作りになられたのですね、楽しみです」
五歳になったクリスは、すっかり淑女であった。言葉遣いも物腰も丁寧で、次期当主として不足はなさそうである。僕要らないんじゃね?
さてそんな調理場であるが、僕とダンさん、もう一人のコックさんの三人に加え、もう五人ほどがあくせくと働いていた。ウチのコックさんは二人である。
なんとなれば、今日はルーデンドルフ家主催のホームパーティーだからだ。招待した家は全部で十二。合計で百五十人超にもなる。中には、ペトラのローイェンドルフ家もある。
贅沢を嫌うルーデンドルフとその傍流がホームパーティーを開くことになったのは、ひとえに僕の釣果……じゃなくて戦果による。ぶっちゃけ狩り過ぎて素材が余ったのだ。
「シルバーウルフの肉は高値でやりとりされるからな。坊ちゃんが丸々五頭も狩ってきたのは僥倖だぜ」
次々とお肉をバラしていくダンさん。僕の担当は前菜だった。 もうお手伝いも慣れたもので、さくさくと手際良く作っていく。今回は人が多いから手際良く作らないと時間が足りないのである。
担当の料理を全て作り終えたところで、僕は調理場を後にした。
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