願う数だけ

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A 「え?」 ちゃんと聞こえなかったのか、美織(みおり)は怒った様に聞き返した。 B「あー…流れ星!消えちまった…。」 オレは心底残念だと身ぶりで示した。 A「もー、晴星(はぼし)、もっと早く教えてよ!」 そこまで言うと、美織は笑った。 オレも笑った。 B「あー懐かしい、この会話!」 A「本当にね。」 やっと戻って来た、物語の始まり。 織姫と彦星の代役になるなんて…あの時のオレたちには信じられない事だったけど。 B「今頃、二人でデートしてるんだろうな。」 A「だね。七夕以外は、みんなの願い事叶えて回ってるんだもん。何年も何年も…年に1回だから逃げ出した二人の気持ちも分かるんだ。」 B「でももうオレはイヤだな…。」 身代わりに一年間働かされて、美織にも会えずに…。 分かるから、何度でも願おう。会いたい誰かに、皆が会えます様に…。その手が、繋がります様に…。
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