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「え?…なに?」
ちゃんと聞こえなかったのか、浴衣少女は怒った様に聞き返した。
「あー…流れ星!消えちまった…。」
残念。
オレは心底残念だと身ぶりで示した。
「もー!もっと早く教えてよ!」
「…」
流れ星なんて、すぐ消える。
一緒に見上げなけりゃ、同じ星だって同じには見えやしないのに。
静かにため息がでる。
「あ!」
浴衣少女…美織(みおり)が、空を見上げて大声を上げた。
「あ…」
流れ星。
…流れ星?
「えぇ?!」
「っちょっ!ヤバくね?逃げるぞ美織!」
あわてて美織の手を掴み、だんだん近づいてくる発光体から逃げ出した。
背面に光が溢れる、もうダメか?!
「キャー!」
美織が、頭を抱えて座り込んだ。
…カコン。…カラン。
「はぁ?」
カコン?めちゃくちゃ軽い金属音が、足下に落ちてきた。瞬間光りは消失する。
振り返ってみると、…
「いたたたぁ…」
さほどでもなさそうに痛がる美織と、足下に転がる円盤…。
「…なんだこれ?」
光の圧力からは考えられないくらい、缶ジュース程度の円盤。…音からして。
それをつまみ上げたら、
ポンっ!
「うわっ!」
「みつけた!新しい星姫と星君!」
性別不明な、子どもっぽい声が響く。
「晴星(はぼし)、それ、なに?」
美織が、オレの手のひらの上で騒いでる生き物に目を白黒させた。
無理もない。
オレにも理解不能だ。
ちっこくてかわいいが、烏帽子に着物…いわゆる、おじ○る丸みたいな格好の、小人が喋ってるんだから。
「…なんなんだ?」
「詳しくは、天界でお聞き下さいませ♪」
「はぁぁ??…ああ~!」
小人の声を最後に、オレたちはどこかに、吸い込まれた…気がした。
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