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新しい風が吹く。
私の短くてふわふわの髪の毛が乱れ、草木を揺らす森の風の中で文章を書くのが私は大好きだ。
「何を書いてるの?」
「自分とは違う自分」
「それって?」
「今の私が持っていない自分を書いてるの」
青空に白く大きな雲がかかった。
彼はそのタイミングで私の前に立った。
グレーに近い緑の髪の色。
おなじ日本人とは思えなかった―――ガタッ
「...夢か...」
瞼を2、3回開け閉めして、携帯で曜日と時間を見る。
土曜日、AM10:31
むくりと身体を起こし、リビングに向かう。
テーブルには親が残したメモとその月のお小遣いが10000円置かれていた。
母親は海外に出張中。
父親はテレビに出て、お金を稼ぐ弁護士。
ふたりが一緒にいるときなんて、年に数回だ。
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