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「え? 全員分でお願いします。こういう物は、大勢で参加した方が楽しいので」
それを聞いたマグダレーナが、意外な事を聞いた様な顔で口を挟んでくる。
「参加者が多いほど楽しい物なの?」
「はい! 手に汗握る、ドキドキワクワクの展開なのですわ!」
「そう。それなら……、カーラとリスベルにも参加して貰って構わないかしら?」
「勿論、大歓迎です!」
「そういう事だから、あなた達も参加なさい。できるだけ楽しみたいわ」
「はぁ……、恐れ多い事ですが……」
「同席させて頂きます」
エセリアの主張を聞いたマグダレーナは、微笑みながら侍女達に促し、彼女達は若干不安と恐縮が入り交じった表情になりながらも、人数分の椅子をテーブルの周りに配置してから、自分達もその椅子に座った。
(ええと、そうすると参加者は七人。うん、大丈夫。念の為に駒を八個揃えておいて良かった)
そして全員が席に着いた所で、エセリアが徐に目の前に広げられた大きな用紙と、そこに乗せられた品物についての説明を始めた。
「それでは皆様に、この楽勝人生(デン・ト・イケ)のルールをご説明します。まず、ここに八色の駒がありますので、好きな色を一つずつ選んで、こちらの《出発》と書いてある枠内に置いて下さい」
そう言ってエセリアが手元にある、自分の親指程の駒を指し示すと、やはり自然に高貴な者からという流れで、ミレディアがマグダレーナを促した。
「お姉様、どうぞお先に」
「それなら……、赤かしら。次はミレディア、あなたが取りなさい」
「そうですね……、水色にしましょうか」
それからは子供達は年齢順、最後にマグダレーナ付きの侍女二人が選んで、全員が出発枠内に駒を置いた。
「皆様の駒が決まりましたので、次はこれです!」
そしてエセリアが得意げに掌に載せて差し出して見せた物を見て、事前に見せて貰っていたコーネリア以外の面々は、揃って首を傾げた。
「あら? 何やら見慣れない形と模様ね」
「はい、これが運を天に任せるアイテム、《コロコロ》です!」
「は?」
それは立方体の形に削ったコルクの一面ごとに、それぞれ1から6までの数字を書いた物だったが、その使い方が全く理解できなかった面々は、益々怪訝な顔になった。その反応を見たエセリアは、見た方が早いとばかりに、それを用紙の上で転がしてみせる。
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