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「この様に、名前通りにコロコロ転がして、上に出た数字の数だけ、《出発》から繋がっているマス目を、《到着》と書かれた枠目指して進むのです」
「なるほど。でもエセリア、このマス目には色々書いてあるのだけど……」
ミレディアが自信なさげに尋ねた為、エセリアは真顔で説明を加えた。
「そのマスに止まったら、そこに書かれた指示に従わなければならないのです。一回休んで次の順番の方に回すとか、何マス戻るとか。逆に何マス進むとか、二カ所分岐がありますので、そこでコロコロで進路を決めたりします」
それを聞いたマグダレーナは少し悩む素振りを見せたものの、すぐに明るい笑顔で周りを促した。
「良く分からないけど、面白そうね。早速やってみましょう」
「そうですね。それではちょうど駒を選んだ順番に座っていますので、王妃様からどうぞ」
「あら、良いのかしら」
「ええ、勿論」
「それでは……、こうかしら?」
そしてエセリアからコロコロを受け取ったマグダレーナは、それを恐る恐る転がしてみた。するとそれは6を上にして動きを止める。
「お姉様、6が出ましたわ。エセリア、6マス進めるのよね?」
ミレディアに尋ねられ、エセリアは出発から六つ目のマスを指さしながら、笑顔で告げた。
「はい、ここまでです。6は一番大きい数字ですのよ? 最初からその数を出すなんて、さすが王妃様です!」
「まあ、そんなの偶然よ?」
「でも、運を引き寄せるのも一種の才能ですもの!」
「あらあら、エセリアは口がお上手ね。あの寡黙なディグレスの娘とは思えないわ」
そして上機嫌に自分の駒を進めたマグダレーナを見て、エセリアは満足そうに微笑んだ。
(うふふ、こんなヨイショ位、王妃様が楽しく過ごして下さるなら、幾らでもやってみせるわ。皆の食いつきも良いし、楽勝楽勝)
ゲームを開始した当初は、そんな余裕を見せていたエセリアだったが、それが進むにつれて大きな落とし穴が待ち構えていた。
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