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それからというもの、私とモックの奇妙な生活が始まった。
「こら!脱いだ服はそこらへんに捨てずにすぐ洗濯。ゴミは分別しろ!」
モックは犬のくせにやたらとキレイ好きで。
「ここをよく読め。ここは小さじって書いてあるだろうが。それは大さじだ!ちゃんと読まないのはお前の悪い癖だ」
犬のくせに料理もできる。……って、あんたはどうせ私が買ってきたドックフードしか食べないでしょ!
「なんだその細い足は!?鍛練が足りん!今から町内一周してこい!」
そして犬のくせに大の散歩嫌い。そのうえ、主人の私を散歩に行かせようとするなんて、どっちがペットなんだかわかりゃしない。
おまけにお節介焼きだ。
「お前は学生だろ。学生が学校に行かずにどうする?毎日パソコンで時間潰してる暇があるんなら一つでも多くの知識を身につけてこい!」
はっきり言ってウザイのだ。しかもモックを見ていると、どうしてもあいつのことを思い出す。だからこそ余計イライラする。
そしてあれは、モックへの怒りを順調に募らせていったある日のこと。
「おいマミ、たまには二人で散歩にでも出かけるか」
それは唐突な誘いだった。
それってデートにでも誘ってるつもり?なんで私が、人の言葉を話す変な犬のあんたなんかと散歩なんてしなきゃいけないのよ。
だけど……。
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