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こうして僕とナオミさんの
生活が始まった。はっきりと聞いていないが、彼女はここで死んだ地縛霊なのだろうと思う。
だからこの部屋から離れられないから、僕が日中大学に行っている時はテレビを見たり雑誌を読んだりしているようだ。
彼女とのコミュニケーションは概ね、筆談か何らかのジェスチャー(窓越しの影や、何かを動かして伝えてくる)である。
僕は未だにナオミさんの顔はおろか全身のお姿も拝ませて貰っていない。かなりシャイな性格なのだ。
少しずつ解って来たのはナオミさんはお笑い番組が好きで、ドラマなんかはあまり見ないようだ。
奥の部屋の扉を開けて、漫才やコントを見てはクツクツ、と笑っている。最近ではテーブルの間に衝立を置けば、ビールやツマミも食べておられる。
結構イケる口らしい。
しかし、幽霊に栄養は必要なのだろうか。姿をはっきり見せないのはシャイなのか、幽霊とはそんなものなのか?他の方を知らないので、解らない。
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