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ソレを自覚した時。
浮かんだ気持ちはたぶん、歪んでいた。
「で?その取引先の子には連絡先渡したの?」
「それが、すれ違いばっかでさー。かれこれ一ヶ月は顔も見てない…」
「あはは。ごしゅーしょーさま」
友達の龍也の話を聞きながら、他の仲間と一緒に彼を笑い飛ばした。
「いやでも、会えない時間が愛を育むとか…」
「一方通行じゃ、育むのは無理だろ」
仲間の言葉に、正面に座る龍也は「ですよねー」なんて言いながら、目の前のピザを口に運んだ。
「私飲みモン注いでくる。何かいる?」
「あ、じゃあ俺ジンジャエール」
「俺あったかい緑茶」
「ティーパックめんどい。烏龍茶にしな」
「えぇー」
席を立ってドリンクバーに向かいながら、仕切りガラスに映った自分の顔をチラと見た。
ちゃんと、笑えていただろうか。
表情は、引きつったりしてなかっただろうか。
息を一つ落として、ドリンクバーにコップをセットした。
男3人に、女1人。
高校の同級生である彼らと頻繁に遊ぶようになったのは、社会人になって地元に戻ってきたここ数年のこと。
微妙な女の子扱いはしてくれるけど。
私はたぶん、彼らの恋愛対象外。
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