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泣きながら笑って、それでも歩く。
私はもうすぐ、この土地を離れる。
だからたぶん、二度と通らない道。
彼へと続いていた道。
何度も消えてしまいたい、消してしまいたいと思った気持ちごと、置いていく。
彼が私に残したもの。
胸の内に宿る彼への気持ちを、私はもう、大事に出来ない。
好きになって良かったなんて言えないほどに、細く、草臥れてしまった想い。
彼から遠く、遠く離れて。
彼の残した残骸が揺らいで、消えていくまで。
私は泣きながら、笑って、笑って、息をしよう。
「ゆらぎ」‐終‐
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