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坂道を転がるように、病んでいった。
誰よりも気付いて欲しかった彼は、ソバにいなかった。
「あなたとは、もう、一緒には、居られないんだ」
一言ずつ区切るように、自分に言い聞かせるように言った。
もう、全てが手遅れで。
一緒にいてもたぶん私は満たされないし、あなたを幸せにもできないのだと。
私達では誰も幸せになれないのだと。
彼に、告げた。
食事もせず、ただ暗闇の中二人で一時間以上話して、別れた。
ようやく、別れられたと小さく息を吐いた。
ポツリ、ポツリと肌に感じた涙は、あっという間に降り出した雨に流されて行った。
ちんたらと歩く私の真横を、駆け足で追い抜いていく人々。
彼らの背中を見送った後。
取り残された道で、一人、笑った。
笑って、笑って、泣いた。
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