0人が本棚に入れています
本棚に追加
朝が白く染まる。
霜の降りた畦に、灰色の猫がいた
触れれば、その毛並みは柔らかく、暖かいだろう
丸まる背中は、好きだった人を思い出させた
寒くなると、丸くなり眠っていた君
ねえ、今なら言えるんだけど
「また会おう」
なんて言葉、信じられたわけじゃなかったんだ
そう願わないと、手を離せなくて
空いた片手に、耐えられなかった
どうしたら大切にできたのか、いまだに答えは出せないまま
月日は望んでもいないのに過ぎて行った
あのまま、行かせてしまったのが正解?
それとも、側に居続けた方が正解だった?
応えてくれる君はいなくて
未だに、離してしまった手を追いかけている気がする
.
最初のコメントを投稿しよう!