白い朝、灰色の猫

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朝が白く染まる。 霜の降りた(あぜみち)に、灰色の猫がいた 触れれば、その毛並みは柔らかく、暖かいだろう 丸まる背中は、好きだった人を思い出させた 寒くなると、丸くなり眠っていた君 ねえ、今なら言えるんだけど 「また会おう」 なんて言葉、信じられたわけじゃなかったんだ そう願わないと、手を離せなくて 空いた片手に、耐えられなかった どうしたら大切にできたのか、いまだに答えは出せないまま 月日は望んでもいないのに過ぎて行った あのまま、行かせてしまったのが正解? それとも、側に居続けた方が正解だった? 応えてくれる君はいなくて 未だに、離してしまった手を追いかけている気がする .
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