a wrong number.

だけど、本当は言ってやりたい。

いい加減にしてくれ、って。
お前なんかどうでもいい。
私の視界に入ってくるな、って。
あんたの関心からも、私を消せって。

傍に置いた携帯電話が震えた。
着信を知らせる画面にはまた、「非通知」の三文字。

呆れた笑いが、口元に浮かんだ。

…これは、間違い電話だ。

通じるわけ、ないんだよ。
あの時も、今も。
電話も。
気持ちも。

『お客さまのおかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめになってもう一度おかけなおしください』

　　　　　　　　『a wrong number.』‐終‐