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そこにいたのは、一言では表現出来ない特徴を持つ者達だった。
金髪を床まで伸ばした女性や、上半身の全てに火傷の痕を残す男、グラサンを付けた如何にもチンピラ風情の男――――など"まだいい"。
明らかに悪魔としか呼べない風貌の怪物。巨大な蝙蝠の羽をこれ見よがしに広げる夢魔。
鎖を全身に巻き付け、悶え苦しみながらも恍惚とした表情を浮かべる女。そして、その女の鎖を手綱にしている二足歩行の子犬。
ハッキリ言って、変態としか呼べない集団が、サーミャ達の部屋を取り囲んでいた。
最早、ホラー映画さながらの光景。仮にサーミャがヒロインだとするならば、ここから生き残るには、この怪物達が互いに殺しあわねばならないだろう。
だが、現実はそう辛くない。殺意混じりの威圧感をサーミャから感じ、怪物達は口々に罪を擦り付けあう。
「えーと、おはよう」
「もう昼だね」
「いや、ワンワンはたまたま、この下僕と散歩に行こうとして……」
「もぐもぎゅ(私はこの子犬に面白いものが見れるからって言われて、着いてきました)」
「テメェ、下僕の癖に……!」
「やはり青春とは良いもの。甘酸っぱい空気……そして二人は指を絡め合い、大人の階段を昇っていくのね」
「幸せは誰かではなく、彼が運んでくると知る」
「そして若さ故のすれ違い」
「い、い……いつか来る別れの時」
「き……かぁ。えーと、きっとまた会える時を信じて」
「手と手を放し、いずれサーミャは俺の元へとやってくる」
「……ルール」
「……」
「…………」
何故かしりとりをし始める怪物達。それ程までに、和やかだった空気は終わりを迎え、サーミャから発せられる殺意が冗談で済まなくなっている。
故に、彼等――サーミャと同じSランカー達は、現実逃避を図っていたのだが――――
次の瞬間。
スタージャの一角は、巨大な豪風と閃光により、跡形もなく消滅した。
☆☆☆
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