おいでよ、つわものどものらくえんへ

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だが、ラストは己の才能を頂点だとは考えていない。身近な所ではサーミャのような存在もいるし、何より――今から自分が向かうのは、怪物達の楽園。 眼前にそびえるのは、最強の総本山。純粋な強さで善悪をも踏みにじる――ギルド スタージャ。 「楽しみだな……きっと、そこには俺なんかよりも強い奴等が沢山いるんだろ? 先生も言ってた……自分より強い怪物もいるんだって」 胸の高鳴りを抑えられない。確信する。自分は今、ランドに入学する前よりも、ワクワクしていると。 そして、ラストは――何の躊躇いもなく、二十階建ての建物から飛び下りる。 視線を真っ直ぐと――目の前にそびえ立つスタージャへと向けたまま。 ――待ってろよ、スタージャ。 ――何年先になるか分からねぇ……それでも俺が、絶対に一番に……。 ――……は? 「――――――ッッッ?!」 もしも彼がただの軽業師であれば、結果は変わっていただろう。"そう"ならなかったのは、一重にラストが熱い想いを燃やしながら、スタージャを見つめていたからだ。 スタージャの十三階。 そこから生み出された閃光と爆風は、ラストに一瞬の防御だけを許し――何の関係もない青年の身体を吹き飛ばした。 まるで、ラストの甘い考えを粉々に打ち砕くかのように。 ☆☆☆ 同刻 グラバラス 中央区 「……んぉ、誰だアレ?」 男が真上を見上げたのは、単なる偶然に過ぎない。 照り付ける日差しに参りながら、本日の太陽の機嫌を気にしただけなのだ。 ふと男が捉えたのは、自身の所有するビルの屋上に立つ人影。 最初は待たせている友人が自分の遅さに怒りを覚え、屋上から睨んでいるのかとも考えた。 だが、一時も離れずにいる護衛の彼女達の影もない事から、使用人であると思ったのだが―― どうやら見覚えのない少年であるらしい。視力を限界まで引き上げ確認したのだから、間違いはない。 故に、男は警戒心を高めて呟く。これまでも何度かあったが、盗賊でも現れたか。もしくは―――― 最悪の想像が脳内を埋め尽くす。だが、男がどうすべきか迷っている最中、屋上の影は何の迷いもなく飛び降りたではないか。 ――ば、馬鹿野郎!! ――自殺かよ! しかも、人の別荘で!!
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