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『玩具屋』 デイドラ・オムギガルム
四十歳 独身 スタージャAランカー
グラバラスの中流家庭で育ち、十六歳の時にランドに入学。
とある同級生達に才能のコンプレックスを抱きながらも、並々ならぬ努力を経てスタージャに所属する。
二十七歳でBランクへと昇進。三十三歳で現在のAランクに昇進。
毒の調合に長けており、本人曰く毒は玩具であると公言している事から――付いた二つ名は『玩具屋』。
本来ならば、エリートである筈の『玩具屋』であるが、才能へのコンプレックスは並のものでない。
『玩具屋』が扱う店の周辺では、若い才能を持つ者が多数行方不明になっており、容疑者の一人として扱われている――――
「――と、これが『玩具屋』の簡単な資料か」
ランドの寮の自室で資料を広げながら、ラストは独り言を紡ぐ。
あの後、ランから渋られながらも受け取った資料に目を通したが、簡単に纏めればこんな感じだろう。
こうして書面だけ見れば、特にこれといった異常性は感じられない。
毒の調合が得意というのならば、こうした疑いをかけられるのも必然とラストは考えていたからだ。
――……とはいえ、コイツも普通に優秀だよな。
ランやあのソラと名乗る二枚舌のガキの話では、この男がSランクに上がるのは時間の問題らしい。
順調すぎる道のりだ。『玩具屋』の同年代であるランドの卒業生の中でも、実力は先頭を走るレベルにあるのは違いない。
――……それでも、才能に劣等感を感じているというのなら。
――それは『玩具屋』が影響を受けた同級生とやらが、化物だったって話か?
――いやいや……そんな事は関係ない……いや、どうだろうな。
戦いをするに置いて、不必要な情報というのは――ほとんどない。無論、知らなければ良かったなんて話もあるが、ラストからすればそんなものはふざけた話に感じる。
――そんなものは、馬鹿の言い訳だ。
――戦いなんてのは、半分は始まる前から決まってるんだから。その半分を少しでも自分に傾くようにして、何が悪い。
――それに……毒使いってのは厄介だ。コイツは、自分の体術や魔法だけで上がってきた訳じゃないって事だろ?
自ずと渋い顔になるのを抑えられないラスト。
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