はじまりの河

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水面から川底に降り注ぐ太陽の光は、ユラユラと踊っているかのように綺麗だ。 泳ぎ疲れた私は、水流の緩やかな大きな石の下に身を潜めていた。 かれこれどれくらいの距離を泳いだのかわからないくらい、私の時間軸はむちゃくちゃになっていた。既に今日が何日なのかわからない。まぁ、わかったところでどうにかなるワケでもない。この河に何日なんていう概念があるのかわからないし、例えば今日が給料日だとしても、お金をおろす場所もなければ、何かを買う場所も存在しない世界だからだ。 なぜなら、今私は人ではない。一匹の魚に過ぎないから。
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