神様の奏でる音楽(私と彼の名前のない想い)

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「何てこというんだよ! その通りだけど」  最後は小さい声になって、つぶやくようだったけど、それで、十分だと思った。 「私は、神鳴様の音楽を聴けば、あなたを想うよ。これで、お互い、だね」  お互いを想うけれど、その先の〝いつか〟は、ない。  想うから、彼の決めた〝覚悟〟は、私の〝覚悟〟にもなる。 「私も、覚悟してるの、お互い、だよ」 〝いつか〟の約束はしない。  彼は、ぴくっと眉を上げて驚いた表情を一瞬したけど、すぐに口を引き締めて、瞳を細くして真剣な顔でうなずいた。
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