神様の奏でる音楽(私と彼の名前のない想い)

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 神鳴様が来ると、お互い、想うことは、〝いつか〟じゃないから。  それで、もういいんだよ。  彼の右手がふわっと上がって、私も合わせて右手を上げて、〝さよなら〟の合図。 「さようなら」  またね、は言えない   これも、〝いつか〟だから。 〝いってらっしゃい〟も言えなくて、 〝おかえりなさい〟は〝いつか〟だから。  彼は東へ私は西への反対方向へ、振り返ることなく自分の道を進む。 〝いつか〟いい思い出と呼べる日がくるのだろうか。 〝いつか〟神鳴様の音楽の話しを彼以外にする日がくるのだろうか。 〝いつか〟彼のピアノの奏でに触れる日がくるのだろうか。 〝いつか〟彼の〝覚悟〟が実りますように。  願うよ〝いつか〟と。   神鳴様の奏でる音楽と共に現れた彼との名前のつかないまま、終わった想い。  それは、夏のほんの数日の出来事。  
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