願いはプリン?

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七夕といえば短冊に願い事だ。   俺はずれた眼鏡を直してから、 「どれ」 と手を伸ばし彼女の短冊を仰ぎ見る。 『バケツいっぱいプリンが食べられますように』 「やっ、やだあ、 断りもなく見るなんて酷いよ!」   桜餅さながらに染まる香弥の頬。   俺はたまらず声をかける。   「ねえ」 「なに」 「そういうの今コンビニで売ってる」 「えっウソ」 「……保育士の資格取得とかじゃないの? 目指してるっていってたのに」 「や、それは自力で叶えるやつだもん!」    プリンはコンビニで叶うのにな。 「そういう卓は? なになに、風呂いっぱいにプリン…… やだぁ、私より欲ば……り……え? プリン……敷き詰めて、香弥を落としこみたい。 って、えっなに、なにこれ怖い、なんなの!?」 俺は物凄い勢いで顔をそむけた。   ……だから、落としこんだ後に美味しくいただこうかと……とは、口が裂けたら言えない。 言えない代わりに短冊食って無かったことにしたのは言うまでもない。
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