4人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に入った香弥は、
「わー案外キレイにしてるね」等の適当な賛辞もそこそこに、お楽しみのヤクルトをテーブルに載せた。
すっ……とおもむろに親指を立てると、ぐりぐりとヤクルトのフタに突き刺そうとする。
あぁそうやって開けるわけね君は。
周りからゆっくりとめくり上げて、ヤクルトが油断している隙に、思い切って止めをさすのが定石のやり方だというのに、香弥はかわいいな。
そんなやり方をしたら君の場合はイヤでも……
ズボッ!
ビシャッ……
ああほら、言わんこっちゃない。
鼻と口もとにヤクルトが飛び散って……飛び散って、点々と、ええと。
「あーあ、やっちゃったー」
ぺろっと親指をなめる香弥。
これはもう、そこはかとなく想像せざるをえない。
なんてこと、言ったところで香弥には意味が分かるまい。
と言うわけで言ってみた。
するとみるみる血相を変える香弥。
えっ、なんだこの反応。
「……わかってんの?」
意味が。
思わず聞いた俺のアホ。
チッ。
真っ赤になって閉口する香弥を前に今さら引けるか。
しかたねぇからキスした。
初めてのキスは、たいそうお腹に優しい味がした。
(2話目オワリ)
(気まぐれで3話目かきます)
最初のコメントを投稿しよう!