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従業員用の裏口から店に入ると、先にシフトに入っていた友人の陽一とちょうど出くわしタオルを持ってきてくれる。
濡れた髪や身体、バッグを拭いて中に入り、バックヤードのロッカーに荷物を置いて制服に着替えながら、ここのバイトで知り合った小岩井陽一と話を続けた。
「ちゃんと拭いとけよ、風邪ひくから。ほら、ここまだ濡れてんぞ」
そう言いながら、拭いきれていなかった後頭部を拭いてくれている彼と知り合ったのは一年ほど前。覚馬がここに入って一月もしないうちに陽一が入ってきて、年齢も一緒だったせいか気が合った。
大学は違うしほとんどバイト以外では会わないのだが、今ではとても仲がいい。
どこか頼りない覚馬と違い、陽一は同じ年とは思えないほどしっかりしていてとても大人だ。
頼りがいがあって、これまでに気持ちが救われたことは一度や二度じゃない。今では覚馬の大事な友人のひとりなのだ。
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