8人が本棚に入れています
本棚に追加
そこには黒い顔、長い耳、裂けた口、ぎょろりとした目、飛び出た舌を持った者が、三本しかない指で私の肩を掴んでいた。
「ひぃっ!あ、悪魔!」
そう叫びにならない叫びをあげて私は、へたりこむ。
「ひひっ。悪魔だなんて失礼な。あんたの願いを叶えに来たんだぜ……」
「い、いや……」
願いを叶えると言われても私は、会話をする気にもなれない。
「双子の兄の体と弟の顔を持つ男が欲しいんだろ?俺には容易いことだ」
私は、お尻を下げて少しずつ悪魔から離れていく。
「いいです!あなたには、何も!」
悪魔は、ひひっとまた笑う。
「あんたの命を取ったりしないよ。安心しな。明日を楽しみに待ってな……」
最初のコメントを投稿しよう!