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「陽斗(はると)!」
放課後、教室で一人カフェオレを飲みながらぼんやりと窓の外を眺めている彼に、あたしは声を掛けた。
そんな黄昏ている様子も、絵になっているなあと感じて見とれてしまうあたしは、他の人からしてみればきっと相当重症だ。
「ああ、樹里(じゅり)。どうしたの?」
いつもと変わらない太陽のような温かい笑顔をあたしに向ける彼――勇陽斗(いさむはると)は、あたしの幼馴染だ。
幼稚園のころ、家が近くだったので幼稚園に行くためのバス停が一緒だった。それをきっかけに毎朝顔を合わせていたお母さん同士が仲良くなり、自然とあたしたちも一緒にいるようになった。
「好き」
気づいたらいつものように、何回言ってきたかわからない言葉が口から零れ落ちていた。
そしていつも口に出して、後悔する。
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