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いや、横切ったのではなく、
正確には、アタシに気付かず、アタシの前を横切って、歩いただけだった。
夜なので、タクはアタシに気付かない。
アタシは、
「…タク、なにしてるんだ?…」
と、声をかけたかったが、
それも憚(はばか)れた。
なぜって、
濱谷あゆみが、
そこにいたのだ。
まさかの、
…夢落ち?…
アタシは自分の頬をつねる。
…イタイ!…
当然、夢ではない!
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