星まつり

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男はまた頬を緩め 「ありがとう…しか言わないつもりですか? 15番さん」 へ?15? 男が私を指差す 指の先を辿れば 会場入り口で 名前の変わりに渡された番号札 ああ。 成る程ね 男は更に頬を緩め 「俺は、23番 建築関係の仕事をしてます」 「わ、私は小さな代理店でオペレーターをしてます」 「もしかして緊張してる?」 コクコクと何度も頷くと 男は中に入ろうかと さりげなく腰に腕を回し 会場内へとエスコートしてくれる 輝以外の誰かに触れられるなんて 初めての事で 私は更に緊張してしまった ずっと輝だけを見てきた私は… 輝以外の男の人を知らない 「せんぱーい!」 菜穂ちゃんが小走りでこちらに駆け寄ってくると男に微笑み 「ちょっとお借りしてもいーです?」 言うよりも早く 男の腕をほどき 私の手を引く 「今の人、ちょっとイケメンでしたね?」 「え?」 「顔見てなかったんですか?」 「あー。一重だった…」 「先輩、今日は先輩が思ってる以上に 先輩はキレイです だから気をつけて下さいね」 ねっ!と後押しし 菜穂ちゃんは男の人の群に戻っていった
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