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『杉浦....亜希....か♪』
羊助は、レシートに記載された
応対店員の名前を見て、心で呟いた。
食材を袋に詰め、飲料水の箱を片手で肩に
担いだ時、其の店員と眼が合った。店員は笑み
を浮かべ、軽く頭を斜めに倒した。羊助も頭を
下げ、出口へと向かった___。
綺麗な女だった。他のレジが若い男のバイト
君だったのもあるが、もしかすると、レジ担当
の主任か、其れなりの役職を持った社員なのか
もしれない。店を出て駐車場に向かう為、店の
前の道路を横断する。車の流れが切れるのを
待っていると、『お客様~~♪』と、
あの店員が駆け寄って来た。
羊助は何事かと
店員を
持っ
た。
『ハァ...ハァ...此れ、落とされませんで
したか?....フゥ....』
息
を切らし、
羊助の前に立ち止まり、
店員が差し出したのは、旧車のキーだった。
羊助は、あッとなりデニムの尻ポケットを見た。
房のキーホルダーが無い。何かに引っ掻けた
かして落とした様だった。羊助は、
『申し訳ない...」♪』と、
頭を下げて、キーを受け
取った。羊助は顔見知りになる切っ
掛けと思い、話し掛けた。店員は、やはり、
レジ担当の主任で、此のスーパーの
社員であった。羊助が
箱詰めの飲
料水を
片手で
担いだ所を
偶然見て驚き、
客足が途切れたのも幸いして、
其の店員は羊助に見とれていた所、
羊助が袋詰めをしていた場所に
キーが落ちて
いた。
『良かったです♪ お客様の物で.....』(笑)
『いやぁ~ホンマ助かりました♪』(笑)
『私も、ホッと致しました♪』(笑)
『感謝しとります♪
自分の車、ドアキーとエンジンキーが
別でして、失くすと厄介でして......』(汗)
『其れで二個付いてるんですね♪
あ....そろそろ戻らないと......
お気を付けてお帰り下さい♪』(笑)
深々と頭を下げ、去って行く店員に.....
『あの.....杉浦さん......♪』
(;゜∇゜)?ハイ....??
『お礼したいんで、近々、お誘いしても
宜しいですか?』(笑)
紳士的に振る舞う羊助に、
名前を呼ばれた店員は笑みを浮かべ、
会釈を送って店内へと消えた。
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