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パーティーは、午後三時に始まる。
午後二時十五分。
咲山亜矢子は、ハナ先輩と並んで、ロビーの受付用カウンターの後ろに立った。
参加者リストと筆記具を準備し、参加者に手渡す葉書き大のカードをセットする。
受け付けには、亜矢子とハナ先輩のほかに、マネージャーの小林さんと事務所のスタッフが入る予定になっている。
小林さんは、さっきまで一緒にいたが、会場内の準備が終わっていないらしく、奥に呼ばれて一旦引っ込んでしまった。
「小山内さんさあ、報道各社にファクスで結婚を報告!みたいなことするのかって思ったら、やらないんですって?」
ペンをセットしながら、ハナ先輩が言う。
真っ黒の細身のパンツにジャケットを羽織った姿が、襟元のリボンタイとも相まって、いつも以上に中性的に見える。しゅっとした体形が、なかなかにスマートだ。
彼(彼女?)とは、実行委員会の場で初めて顔を合わせた。なのに、奈緒からいつも名前を聞いていたからか、あっと言う間に親しくなって、今では十年も前からの友達みたいになっている。
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