天の川の甘い雫

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仕事でいつも遅くまで残業に追われ、ここ最近は休みの日も接待や会議でなかなか会えない。だから、七夕の日はどうしても拓未と過ごしたい気持ちでいっぱいだった。 会社帰りに拓未と待ち合わせ、何処かで軽く食事をするつもりだった。街中が七夕の垂れ幕やセールの看板などを掲げていたのを見て、感化されたのかもしれない。 やっぱり家飲みがいいな。 拓未と知り合ってから初めての七夕の日。どうせ過ごすなら、彦星と織姫のイチャつくところを見せられるより、由伸は自分がそうしたいと思ったからだ。 年甲斐もなく、俺は我慢が出来なくてダメだな。 拓未よりも五つ歳が上でありながら、自分なりに子供っぽいと思ってしまう。それでも、拓未はそんな由伸を一番に考え、頼りにしてくれていることが嬉しかった。 「由伸は短冊に何書くの? やっぱり出世しますように、とかかな」 冷やかしながら笑う拓未は無邪気に肩を揺らしている。 「さあな、拓未が見せてくれたら教えるよ」 そんなことを書くわけないだろ、と笑って優しい眼差しを送る。 日が沈む中を足並み揃えて、家路へ急いだ。
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