《1》

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ワンコと出会ったのは1年前。ワンコが隣の市の学校から俺が通ってる学校に転校してきた時だ。 うちの高校は男女共学であるにかかわらずあまりにも女子の人数が少ないのと男連中が何代も喧嘩ばかり繰り返して不良校として有名だ。 というか喧嘩ばかりしてるから女子が入学してこないんだろうと思う。女子と男子のクラスははっきり分かれてるんだが。 ほとんど男子校と化しているうちの高校。停学や退学なんかで人数が減ることはたまにあるが、わざわざ途中から入学してくる人間も少なくて。 しかも隣の市では一匹狼として有名だったとか、狂犬と呼ばれてたとか色々な噂を先輩から教えてもらってたのだ。 狼も犬も好きだ、もふもふしたいとか思ってた。 あっちなみに(?) 同級生とは入学式で乱闘になり全員と遊んだ。 当時の2年の先輩にはたびたび絡まれて、なんやかんやしてるうちに仲良くなっていた。 もう卒業してしまった人が大多数の当時の3年の先輩には番長というあだ名の先輩がいた。よく手合わせをさせられた。 元 番長というあだ名の先輩は今はキツネと呼ばれていて、今も3年にいる。早い話、卒業できなかったのである。 なんだかんだ今もだが去年もどの学年の生徒とも仲良く出来てると思う。 ま、それはとにかく。 ワンコがうちのクラスにしかめ面で入ってきた時の衝撃を俺は忘れられない。 嫌悪と警戒、諦めの様な投げやりな雰囲気を醸し出した表情と耳と尻尾。 (この時は耳と尻尾が自分の幻覚だと気づいてなかった) 全身から こんなところ来たくなかった! お前らなんかに会いたくなかった! 俺はお前らに負けない! もう傷つきたくない! もう戻れない! 傷つくくらいなら傷つけてやる! …そんな感じの強がりに近いプルプルして怒ってる風だった。 可愛かった。すっごく可愛かった。ものすご~く可愛かった。 目の中に入れても痛くないほど可愛いがる気持ちが分かった。たとえ噛みつかれても懐いてくれなくても、かわいくて可愛いくて仕方ない気持ちになった
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