第2章

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 クィーンが俺の居るところに手を出してくるので、掌に移動して地上へ降ろしてもらう。  自分の足で大地を踏むと、久しぶりの重力に思わず息を大きく吐いた。  重力をこんなにも有りがたく感じるのは、ずっとクィーンの胎内にいてほとんど立つことなどなかったからかもしれない。  身体が重く感じるのは、重力のせいなのか体力が落ちているからなのか、どちらにしても少しずつ身体も前の状態に戻さなければと、その場に腰を降ろして身体を捻ってみる。  簡単なストレッチをしてから、周囲を探索してみることにした。  周囲にいるバジュラたちは俺のことなど気に止める様子もなく、すぐ側を通っても振り向きもしない。  まるでアイランド3で飼育されていたカバウシのように、自由に過ごしている。  俺は草原をどんどん進み、ちょっとした小高い丘に立ち下を見下ろせば、眼下に湖を認めてそこまで行ってみる。  水際でまず手を入れて水温を確かめて、入れそうだと判断してパイロットスーツを脱いでゆっくり入水する。  ずっとクィーンの中に居て、ここに着いてから着のみ着のままだったので、さすがに身体を清めたかった。  水浴びをしてからそのままゆっくり真ん中に向かって泳ぎだし、しばらく進んでから上向きに身体を反転させ、湖面にユラユラ揺られていた。
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