第3章

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 以前、帰れるのか?とクィーンに尋ねた時にはまだ話す時期ではないと言葉を濁され、それ以来答えを聞くのが怖くて避けていたが、方法があるのであればその準備などもしなければならないはずだ。  俺はその事も含めて、改めてクィーンに問うことにした。 「バジュラ、まだ帰る方法は話せないのか?」 『どうしても帰りたいのか?我々と共にここに居る方が安全であろう?命を懸けてまで帰るのか?』  VFがあるわけではないので帰る方法が簡単ではないことは予想していたが、命懸けの言葉に正直すぐに返事が出来なかった。 「お前からすれば、せっかく助けた命を無駄にしようとしているって思うのかもしれない。それでも、俺は生きて帰って、アイツの側に居たいんだ」 『彼女がもう居なかったとしても?』  グッと手を握り締め、最悪の事態も想定しておかなければならないと、心の中で落ち着けと何度も繰り返す。  クィーンは俺の気持ちを確かめているんだ、シェリルは絶対生きていると、自分に言い聞かせる。 「もし仮にそうだとしても、アイツがどんな形になろうと、それでも俺は帰ってシェリルの側に居る」  しばらくクィーンからの言葉はなく、何を考えているのか不安が広がり、今更帰る方法が無いなどと言い出さないだろうかと、そればかりが頭を過る。
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