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後ろ姿を見つけて彼女の名を呼ぶと、ゆっくり振り返り、そして俺の姿を認めると驚いた顔の後、涙が込み上げてきたのを必死に堪えているのが分かる。
俺が抱き締めようと腕を伸ばすと彼女も同じように手を伸ばし、そしてしっかりと抱き合う。
しばらく何も言えなくて、ゆっくり彼女の顔を覗き込めば涙でぐちゃぐちゃの顔で、そんな今まで見せたこともないような表情さえ愛しくて、涙を拭うよりも何よりも彼女に口付けたくて頬に手を添えて顔を近づける。
彼女も目を伏せてくれたのを確認し、本当に唇が触れる直前で急に彼女の身体は無数の桜の花びらと化し、足下から巻き起こったつむじ風に乗って高く上へと舞い上がる。
「!?」
意味が分からなくて、彼女を捕らえようと手を伸ばすも、虚しく空を切るだけで花びら1枚すら掴めなかった。
「ーーーっ!」
俺の彼女の名を叫ぶ声だけが、辺りに響いた。
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