3人が本棚に入れています
本棚に追加
ああ言えばこう言う的に上手く躱す相手に、思わずため息が漏れる。
そして目に飛び込んできた俺の腕に繋がっている数本の管を眺めてから、少しだけ腕を持ち上げた。
「なぁ、まだこれは外せないのか?」
『まだダメだ。お前の身体がそれ無しではいられない』
「そうか」
小さく呟くように返すと、もう一度周りを見渡した。
少しだけ薄暗く、温かくて柔らかな決して広くはないが、俺一人には十分な空間。
その空間の上部から伸びている管が腕と繋り、その管のおかげか空腹も喉の乾きも覚えず、そして今の俺の身体を維持しているらしかった。
ここはバジュラクィーンの胎内の一部だ。
以前、ランカがバジュラに取り込まれたのと同じ状態にある。
フォールドするのと同時に取り込まれ、そして新たな惑星に到着してもなお、俺はクィーンと繋がったままだった。
バジュラたちに時間の概念は無い。
あれからどれ程の時間が経過したのか尋ねても、分からないの一言で片付けられてしまった。
クィーンの胎内にあるせいか、はたまた繋がっているせいか、クィーンは俺のあらゆる情報を見ることが出来るようで、記憶はおろか心の中まで読んでくる。
良いように振り回されているようで、それが腹立しいときもある。
最初のコメントを投稿しよう!