第1章

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「言葉が通じないって、あの時、俺に言ったのは!?」 『私が言ったことを、お前がどう感じたかは知らない。少なくとも、あの娘に私の言葉は届かない』  バジュラの答えに思わず悔しくて歯軋りした。  あの時ーーー最後の戦いの中、バジュラたちに歌を届けてクィーンの手の上に降り立った時、俺には確かにクィーンの声が聞こえた。  今からすぐにでも攻撃を避けるのにフォールドするから、伝えることがあれば言っておけ、と。  だから、俺は二人に自分の気持ちを伝えて、バジュラたちと共にフォールドしてこの惑星に来た。  シェリルが俺の方に手を伸ばしたのを見たような気がしたが、消え行く時に見えた幻だったのかもしれない。  シェリルへの気持ちも伝わったか疑問でもあったし、返事も聞いていない。  だからこそ、帰って気持ちをちゃんと伝えて返事を聞きたかった。 「バジュラ、俺は帰れるよな?」  シェリルの安否を確認出来ないのであれば、帰って直接確かめるしかない。  帰れる方法があるならば聞いておきたかった。 『…興奮すると身体に障る。少し眠れ、人の子よ』 「バジュラ!」 『その時が来たら、話そう』  そう答えるのを聞いて俺の意思とは裏腹に、急激な眠気に襲われる。
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