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「私は、お前たちに危害を加えるつもりはない。」
女の子は俺のズボンをギュッと握りしめ、真剣な眼差しで俺を見上げている。
「私の名はカグラ。彼女の最期を教えてくれ。」
彼女とは恐らくインフィニティ=カズサのことだろう。
何故、カズサがあのどデカイ黄色い液体となったかはわからないが、この惑星では何でもありな気がする。
俺は、カグラにこれまでの経緯を話すことにした。
俺の内にいるカズサがそれを望んでいたのかもしれない。
一方、姫はいまいち状況が飲み込めていない。
まぁ、そりゃそうだろ。
姫は俺がインフィニティを倒したことも、インフィニティという存在自体すら知らない。
俺は姫への説明を含めて、カグラににこれまでの経緯を話した。
その際に、レベルが飛躍的に上がったことに関しては伏せておいた。
カグラは気付いているため、あえて、姫に知らせる必要はないからだ。
(今更、姫に隠す事もないと思うけど。)
カグラは改まって、こちらを向いた。
「カズサちゃんは、本来、私が止めるべきだったが、正直、私の力では無理だった。」
なるほど、俺が偶然倒したカズサちゃんはやはりとんでもなかったんだな。
「私は地球人ではない。他の惑星から来た。」
カグラはそう言った直後、ハッとして、
「お前達と同じ人間だぞ。詳しい事情はそのうち話す。今となっては、私は一人ぼっちだ。」
姫は何となくだが、カグラが悪い者ではないと気付いていたのかもしれない。
先程とは違い、気持ちを切り替えているようだ。
状況の把握力、肝っ玉、姫は只者ではないな。
姫は意を決して、カグラに言った。
「一人なら、私達と一緒に来る?」
カグラは驚いた表情を浮かべた。
姫は続ける。
「あなたは、とてもすごい力を持ってるのかもしれないけど、私達から見たら、かわいい女の子なの。
こんな、女の子を一人ぼっちに出来ないわ。」
「ねぇ、ソラ?」
姫は、俺を見つめる。俺は、カズサの記憶の断片から、カグラが信頼できることを何となく分かっていた。
「俺も、そう思う。何しろ強いしな。」
カグラはキョトンとして、
「いいのか?得体の知れない化物だぞ。私は。」
俺はカグラの手をとり、
「この惑星にいる時点で、みんな化物みたいなもんだ。」
こうして、新たに最強女子がパーティーに加わった。
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