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「それでは聞いて下さい『君のマシュマロは僕のもの』」
曲紹介を終えた萌伊ちゃんが、ふと真面目な顔に戻り、自分の位置に戻る。キラキラしたシンセサイザーのイントロが流れ、ステージにピンク色のライトが灯った。「はいっ!」「はいっ!」とメンバーたちが頭の上で手拍子をすると、それに合わせて観客たちは両手を叩く。私は萌伊ちゃん推しをアピールするために、ペンライトの代わりに萌伊ちゃんの好きなキュウリを片手に3本持ち、リズムに乗る。
一曲入魂。彼女たちの前髪は冒頭数曲にして、既に風呂上がりのように濡れている。振付け、合いの手のタイミング、彼女たちと一緒に1曲1曲を楽しみたくて、DVDと動画サイトを研究して、必死に覚えた。
会場の熱も徐々にあがって来た。コメカミからダラダラと流れてくる汗を首元にぶら下げたタオルで拭い、Tシャツの袖を手繰り上げ、肩を出す。高校時代、炎天下の中での部活を思い出すような暑さだ。
「皆の声、もっと聞かせて!」
コンサート終盤。シングアロングでボルテージはMAXになる。女の子のかわいいラララーの声に合わせて、メンズ主体の野太い声が続く。
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