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「勿論、リスクが高い分、お仕事完了の際には、あなたにもご褒美が待っているニャ。何でも一つだけ望みを叶えてあげるニャー。現実ではありえない事も天使なら可能だニャ。どうかニャー、悪い話じゃないと思うニャー。さてさて、信じるか信じないかは、あなた次第デス! ……ニャー」
猫がこちらを指さすようなポージングで固まったのち、いきなり画面が砂嵐に切り替わったのを合図に、男がDVDを停止させる。都市伝説風にカッコつけて締めくくろうとして、語尾に「ニャー」を付けるのちょっと忘れてたじゃん。
「という訳だから、これからよろしく、ニコ」
ポンと肩を叩き、男は陽気に答えた。突っ込みどころが満載過ぎて、どれから訊いていいか解らない。
「よろしくってお願いされても、このふざけたDVDを信じろっていうの?」
不信感を露に男を睨みつけた。相手が両腕を組みながら胡坐をかき、「う~ん」と目を瞑って何かを考えている間に、ローテーブルに転がっている携帯充電器を掴み、テーブルの下で素早く携帯電話に差し込んだ。これでライフラインの確保は完了した。いつでも警察に助けを呼べる。
「お前は、俺が天使だということが信じられないのか?」
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