イケメンじゃないの?

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「はぁー」と威勢のいい声を上げると同時に、バサーと男の背中に大きな紺碧の羽根が生えた。CGでしか見たことのない光景が目の前に広がった。動物園でもこんなに大きな翼を持つ鳥はいない。驚いた。けれど、思わず見とれてしまう程、美しい色の羽根だった。  男が軽く羽根を動かすと、ふわりと浮き上がり、狭い部屋の中をくるくると飛び回った。これは現実なの? それとも疲れているから幻覚を見てるの? 「どうだ?」と天使はドヤ顔でこちらに訊いてくる。今、目の前で非現実的な出来事が起こっているのは解った。  男がパチンと指を鳴らすと、羽根は跡形もなく背中から消えた。カーペットの上に脱ぎ捨てたTシャツを再び被る。羽根はどこに消えたのだろう? 男の背中を擦ってみたが、羽根の痕跡はなさそうだ。 「契約って何なの? 私、契約なんて結んでない」 「結んだじゃないか。落ちて来た俺を心配しながら覗き込んだニコに、『俺のパートナーになってくれるか?』と問うた。すぐ答てくれたじゃないか。こう人差し指を立てて。人間の世界ではそのポーズは了解を意味するのだろう?」  天使は立てた人差し指をこちらに向け、自信満々に答えた。
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