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「ちゃんとした薬を用入れば、一生ではないが、ある程度の期間、笹井萌伊で過ごすことが可能だ。ライブにテレビに、中学生に戻って学校に行ってもいいし、笹井萌伊として好きなことができる。どうだ? 魅力的だろう?」
にたりと意味深に笑う顔が、萌伊ちゃんだとかわい過ぎて、つい写真に収めたくなってしまう。
「私が萌伊ちゃんになっている間、本物の萌伊ちゃんはどうなっちゃうの?」
「天使が丁重におもてなしするから、安心だ。しかも、ニコが笹井萌伊になっている間の記憶を書き換えるから、本人は入れ替わったことに気付かない」
萌伊ちゃんとしてアイドル体験か……ちょっと……かなり興味はある。どうしよう。迷いが表情に出ていたのか、萌伊ちゃんに扮した天使は、ギュッと両手で私の手を握った。
「ニコお姉さん優しいから、天使さんのお願い聞いてくれるよね? 萌伊からもお願い。天使さんを助けて下さい」
目の前にいる萌伊ちゃんが上目遣いで、私の顔を覗き込んでいる。何、その表情、超かわいい。正直、お願いきいちゃおうかなぁと心がぶれている。頭の中の冷静な私が「そいつの正体はブサイク天使だ」と連呼している。
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