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絶対ないよ、無理無理無理。コイツは何を意味の解らないことを言っているんだ。乙女の部屋に、どこの馬の骨か解らない自称・天使を住まわせるなんて。
「言語道断、ありえません!」
そうきっぱりと答えるはずで、大きく息を吸い込んだ。
「頑張ります。よろしくお願いします」
意に反して唇から流暢に零れてきた言葉に、自分自身が驚いた。いや、違うって。私はこんなセリフを言いたいんじゃない。
「今の発言しっかり録音させて貰ったぞ。記憶にないって言っても無駄だからな」
天使の右手には、いつの間にかボイスレコーダーらしき機器が握られていた。しかも、萌伊ちゃんは元のブサイク天使に変わっていた。もしかして、マインドコントロールとやらに、既に侵されている? と思った所ですでに時遅し。
「あぁ、もうっ! パートナーになればいいんでしょう? その代わり、お仕事やらは速攻で終わらせる」
苛立ちながら叫ぶと、「おぉ、意外に頼もしいな」と天使は手を叩いて喜んだ。
「ねぇ、試しに一度だけさっきのアメを味見させてよ」
「断る。アイテムの無駄遣いはできないし、緊急事態でない限り、願いを叶えるのは、仕事が完了してからだ」
お願いは瞬殺された。
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