コバト女学園

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 ステージ上の扉にスポットライトが当たると、女の子たちの登場を今かと待ちわびている観客たちから、どよめきが起きる。意に反して扉から出て来たのは、鳩のマスク(大型量販店に売っているゴム製のすっぽり被るタイプのもの)を付けたスーツ姿の男性だった。  彼の名前は鳩胸(はとむね)先生。中の人が誰なのかは謎だ。鳩胸先生は、コバト女学園の担任の先生である。やたら胸を付き出しながら、唐突にプピーと手にしたトランペットを吹き始めた。それと同時に____ 「みんな~、はっじまっるよ~」  萌伊ちゃんを筆頭としたメンバーの声が響いた。鳩胸先生がいるステージじゃない。じゃあ、この声はどこから? と私は辺りをキョロキョロと見渡した。同じ様に、周りにいた人たちも頭を左右に振って、声のありかを探している。オープニングのイントロが流れ始めると、ワァーと席の後方から地響きに似た歓声の波が押し寄せて来た。 「後ろだ!」  誰かの声に上半身を捻って、後方を確認した。客席1階、後方の扉がバーンと開くと、12人の女の子たちが二手に別れて、客席の間を駆けて来る。
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